最初からイタリア料理をやろうと思っていたわけではありませんでした。洋食をやろうと思っていて、色んな店に食べ歩きに行ってたんですよ。 その中で出会った師匠の料理が美味しかったんですよ。

僕、今でも料理を作る時は、師匠が美味しいと言ってくれるかどうかをイメージしてるんです。

ただ、（師匠は）フレンチでパスタがなかったので、後で何店舗かお世話になりましたし、イタリアにも何回か行かせてもらいました。

イタリアには本当は仕事をしに行こうと思ってたんですよ。でも、その時付き合っていた彼女に反対されて、彼女を取ってしまいました（笑）

まだフレンチをやっていた時、神戸の六甲アイランドかどこかでイタリア展をやっていたんですよ。 そこで屋台があってパスタを600円くらいで出していたんです。それを食べた時に安くて美味しいなと思ったんです。

ニンニクとトマト、塩、胡椒、鷹の爪、オリーブオイルぐらいしか入ってないのにそれで美味しかったんでハッとして。

フレンチって肉か魚が必要なんで、どうしても高級になるんですよね。

でも、パスタは安いじゃないですか。安いのにヨーロッパの香りがするんですよね。 庶民的やしスピーディやし。

イタリアンはどちらかと言うとスタイルが中華に似ているんですよね。そこに感動して。それなら安く提供できると思って。

建築デザインをしていたので、このお店も自分で設計したんですよ。このテーブルも作りましたし、色がついてるのは友達がやってくれて、タイル屋とか電気屋とかの友達と一緒に作りました。

全然良くないですよね。

でもここは第一希望の場所でした。テーマが非日常だったんですよ。前の道路が広いですし、前の建物も白いし（笑） 車で来やすい場所であるなというのも思って。

美味しいものを作っていたら人が来ると思ってたんですけど、最初全然来なかったですよ。

僕と嫁さんと二人で「お客さん来へんな」ってずっと

結構長かったですよ。3年ぐらい続いたのと違いますか。 イメージしていたことができるようになったのは、6年目ぐらいです。

積み重ねですね。暇な時が多くても、 また来てもらえるようにということだけ考えていました。

開店してすぐ折れそうでしたよ（笑）イメージと違うから。 工事の最中も、友達にやってもらっていたんで喧嘩してストップになったりもしました。向こうも職人だしこっちも職人なんで。今は仲いいんですけどね

その時は嫁さんとも仲が悪くなりましたからね。お互いイライラしていますから。