2018/09/22


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・眠気を覚まして頭をスッキリさせたい

・仕事や勉強の途中で、ホッと一息つきたい

・食事のおとも

など、日本人の生活に欠かせない「お茶」。

 

お茶には、煎茶、玉露、番茶、ほうじ茶など、さまざまな種類があるのですが、そのなかでも特に人気を集めているのが、抹茶です。

 

抹茶は、愛知県西尾市、静岡県藤枝市、福岡県八女市などを中心に生産が行われているのですが、そのなかでも、とくに高品位な抹茶の産地として有名なのが、京都府宇治近郊、和束町や山城一帯で生産されている宇治抹茶です。

 

宇治茶と抹茶の歴史

京都府宇治・山城一帯で生産されている宇治茶は、鎌倉時代に日本臨済宗の開祖・栄西によって、留学先の中国から日本へと持ち込まれたお茶の種子を、華厳宗の僧侶、明恵上人が受け取り、京都・栂尾山にある高山寺に植え、茶を奨励されて以来、日本最古の茶園として、高品質な茶葉を生産し続けています。

 

明恵上人によって始まった茶栽培は、その後、高山寺を中心に京都府周辺地域へと広がったのですが、そのなかでも、宇治周辺は非常に茶栽培に適した地形と風土をしていたため、京都府内でもっとも茶栽培が盛んに行われたそうです。

 

室町時代になると、足利義満によって、いくつもの指定茶園が作られ、宇治茶に特別な庇護が与えられました。

これは、豊臣秀吉にも受け継がれ、徐々に宇治茶ブランドが確立されてゆくようになります。

 

安土桃山時代を迎えると、京都府・宇治にて、茶葉に太陽光が当たらないよう、茶園全体を葦や藁で覆い隠してしまう驚くべき茶栽培方法「覆下栽培」が確立され、煎茶だけではなく、高級な碾茶が加工されるようになりました。

 

さらに、都から豊富な菜種油粕、干鰯、下肥が運び込まれたことによって、質の良い有機窒素質の肥料が、茶栽培に使用されるようになり、これまでの渋味の強い露地栽培の抹茶とは違う、まろやかでうまみが強く、色鮮やかな濃緑色の水色が一際目を引く、日本固有の抹茶が誕生しました。

 

宇治で誕生した日本固有の抹茶は、1603年から約260年続いた徳川幕府の庇護を受け、毎年徳川将軍家が飲む新茶を宇治から江戸へと運ぶ「御茶壷道中」が制度化されました。

 

その後、京都府・宇治では、宇治茶の製造・販売を行う宇治茶師によって、合組(ブレンド)が行われ、日本各地の茶人の好みに合わせた茶づくりが始まるなどの、創意工夫が重ねられるようになり、宇治周辺には、覆下茶園と茶生産施設などによって構成されたのどかな集落と宇治茶師の屋敷などから構成される美しい街並みを楽しめる名所として、いまも昔も変わらず、京都府の人気観光スポットのひとつとなっています。

 

宇治茶の歴史と文化を学ぶ「宇治市・宇治田原町の旅」

『宇治茶や抹茶の歴史や文化に興味が湧いた』、『京都府・宇治の抹茶の歴史を体感してみたい』と感じた方は、これを機に、宇治・山城一帯に伝播し、発展した宇治茶800年の歴史を辿る「宇治市・宇治田原町の旅」に出かけてみてはいかがでしょう。

 

宇治川の谷口に位置する宇治市には、鎌倉時代に宇治の里人が茶の種子の撒き方が分からず、困っていたところに偶然通りかかった栂尾高山寺の明恵上人が、畑に馬を乗り入れて、里人に蹄の跡に種子を蒔くように教えたと伝えられている「駒蹄影園碑」、室町幕府3代将軍・足利義光が宇治郷に開かせたとされる宇治七茗園のひとつ「奥の山茶園」、“世界でたったひとつの喫茶室”と称されるお茶の淹れ方を体験できる喫茶処「宇治茶道場 『匠の館』」など、宇治茶の歴史や文化にまつわる魅力的な観光名所がたくさんあります。

 

宇治皮の支流田原川に臨む宇治田原町には、『青製煎茶製法』を考案し、日本国内に普及させた永谷家の屋敷跡に建築された「永谷宗円生家」、昭和29年に永谷宗円を茶宗明神として大神宮社に合祀した「茶宗明神社」、古き良き時代の家屋からほのかに香るお茶の香りにココロがときめく「郷之口の街並み」などは、宇治茶を含む、日本茶の発展・普及に多大な貢献をした偉人・永谷宗円ゆかりの施設があります。

 

さいごに

 

日本緑茶の発展や普及に大きな貢献を果たした京都府・宇治。

かつて、宇治市と京都市周辺には、京都府のおよそ半分を占める1300haもの茶園があったそうです。

しかし、時代の流れと共に、宇治市と京都市周辺にあった茶園は、徐々に減少してゆき、いまでは100haを下回るほど、茶園の規模が縮小してしまいました。

“日本の緑茶の基礎”とも呼ばれ、古くから日本人の渇きを潤してきた宇治茶は、生産者や茶商工業者のたゆまぬ努力によって、いまもなお日本一の品質を誇る高級茶の座を保っています。

宇治茶、宇治抹茶に興味を持たれた方、日本の歴史や文化を肌で感じてみたい方、ぜひこの機会に、京都府・宇治の地を散策してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

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