2019/07/26
「BOOKS & FOLKART ナナクモ」さんオーナーであり写真家の森善之さん最終回です。東京に事務所を持ち活動されていたにも関わらず、宇治に「BOOKS & FOLKART ナナクモ」を開店させることになった理由は?
取材時、特別過去の実績を聞いたわけでもないですが、それでも仕事のできる方が持つ空気感を感じました。その空気感というのは、壮大なビジョンを掲げていたり、鋼のようなメンタルからくるものではなく、しなやかにユルく物事に対処できるその余裕からきているように思えました。
いくつか理由はあるんですけれど。
それまで東京の事務所から本を出版するというスタイルで、僕はこっちに自宅があったので単身赴任的な生活をしていました。
「JAPANGRAPH」のお仕事をされているときは主に東京で?
5号ぐらいまでは東京で作っていました。
そうすると印刷屋さんから本が出来上がってくると、一旦自分の事務所に入れないといけなかったり、そこで注文を聞いている分の配送作業をしたり、梱包したものをまた郵便局まで運ばないといけません。
そういうことをするのが東京では凄く大変だったんですよ。
車もなかったので、レンタカー借りたり、タクシーで行ったりするんですけど、事務所の立地も車をそんなに長時間前に停めておけるような場所ではありませんでした。
そういうことが毎度出来上がってきたら1か月ぐらいの間は続くわけですよ。これはいつまでも無理やなと思うようになって。
確かに大変そうです。
在庫で抱えている本を置いておくスペースも必要ですし、そしたら号を重ねていくごとに在庫の山が増えていくわけですよ。
これはもう限界やなと思って、それなら宇治でそういうことをできる場所を探した方が早いんじゃないかと思って
宇治なら自宅がありますし、車もありますし、場所さえ見つかれば作業が楽じゃないですか、おまけに在庫を置いておけます。
最初はお店という意味ではなくて、そういう場所があったらいいな、という感じでした。
それでこの場所に?
ここは随分前に見に来ていたんですよ。ここいいなと思っていて。
そしたらたまたま先輩と喋ってたら、「知り合いが家主さんと親しいから口を聞いてあげるよ」って言ってくれて。大変やけど改装したらなんとかなるかなと思って。即借りることにしました。
半年ぐらいかけて改修したんですかね。
結局、事務所や倉庫ではなくお店をすることにされたのは?
それなら「JAPANGRAPH」のお店にしようという考え方になって。
結構この界隈もいい感じですし、観光の方がここにいっぱい入ってこられても、ちょっと困るかなと思ってましたし、奥まっている方がかえって好都合かなと思って。
お店にはJAPAN GRAPHに関係のある商品が並んでいる?
本を売るのとその本を売るために協力してくださったその土地の食品以外の品物で、交渉して入手させてもらっています。
場所ができてきたら今度は絵の展示とかやりたいなとかいう話も出てきて、 そしたら一回やってみましょうかといって、それで今に至るという感じです。
どういった基準で展示するアーティストを選んでらっしゃるんですか?
僕の個人的なつながりが強いですし、僕の感覚に合う人という部分はありますね。
こちらのお店はできてどれぐらいになるんですか?
今年の夏でちょうど5年です。
お店ができてからご苦労とかなかったですか?
苦労というほどのことでもないけど、最初の1年2年は木・金・土・日と営業していたんですよ。
でも、ここにこんな店があるなんて知ってる人誰もいないし、木金なんて誰も来ません(笑) 丸1日座ってても誰も来ません(笑)土日に人が来ると言っても、まれ。
でも、今はひっきりなしにお客さん来られてますよね
最近はね。
うちも展示とかもしていたので、少しずつ知って貰えるようになっていって。そうこうしてるうちに隣に山小屋さんもできて、少しずつ増えてきて。
今はそれなりに来て下さるようには、なってると思います。
今後のビジョンとかもしあれば?
あんまりないかな(笑)
「JAPANGRAPH」はずっと続けていきたいんですけど、僕らも60歳近いのであんまり年食ったおっさんとおばはんがいるよりも、30代や40代の人たちがやってくれる方がいいなと思っています。
「JAPANGRAPH」のコンセプトショップというのは続けて欲しいんですけど、そういう人誰かいません笑?
「BOOKS & FOLKART ナナクモ」森善之さん
3-1 写真家として地方に行くうちにコンテンツがたまりJAPANGRAPH創刊
3-2 韓国での写真が僕にとっての原点
3-3 最初の1年2年、木・金なんて誰も来ませんでした
屋号 | BOOKS&FOLKART ナナクモ |
住所 | 宇治市宇治妙楽144 |
営業時間 | 12:00~17:00 金・土・日曜・祝日 |
TEL | 0774-21-8118 |
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「JAPANGRAPH」という雑誌をつくられた後、なぜこちらのお店ナナクモを作ろうと思われたんですか?